広島中華そばの椀(どんぶり)に描かれた創業者の思いを考察する【ひろしまイク麺紀行⑩】

広島中華そばを食べ歩いている中で、椀(どんぶり)に描かれている絵や模様が気になったので、各店の違いをまとめるとともに、椀に対する創業者の思いを勝手に考察する。

 

これまでに訪問した「すずめ」「つばさ」「乙丸」「冠生園」「来頼亭」の椀には、次のような絵や模様が描かれていました。

店名伝説の動物雷紋双喜紋その他

来頼亭

鳳凰   2体

赤・青・黄

花(梅・金木犀・菊・牡丹)

乙丸

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蒼龍(爪3)3体

3

すずめ

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蒼龍(爪3)3体

赤・水色・青

すずめの名前

つばさ

HP

蒼龍(爪3)3体

つばさの名前

冠生園

HP

金龍(爪5)3体

冠生園の名前

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龍は、さまざまな動物の一部が集約されているその形から、総合的な力を持つ極めて縁起の良い動物とされ、現代の中国や日本においても、家庭を守り、商売繁盛の象徴として崇められています。古代中国では、皇帝の権力の象徴とされ、龍の力を借りて国を守ったともいわれています。龍を祀るにあたっては、爪の本数が身分によって定められ、5本の爪がある龍は皇帝、4本の爪は貴族、3本の爪は一般庶民にのみ許されていたそうです。また、龍には色の異なる5種類があり、中国の五行思想から、蒼龍(青)は東方、赤龍(紅)は南方、白竜(白)は西方、黒竜(黒)は北方、金龍は中心を護る神とされてきました。

 

つばさの椀

「すずめ」「つばさ」「乙丸」の椀には、3本の爪をもつ蒼龍(青)が描かれています。創業者が描いた3本の爪には、中華そばが一般庶民の味として根付くよう願いが込められていたのではないでしょうか。また、描かれた蒼龍(青)は、春を象徴し自然の成長を見守り、発展させる神とされ、戦後広島の復興を願って描いたものなのではないでしょうか。

 

冠生園の椀

「冠生園」の椀には、5本の爪をもつ金流が描かれています。創業者が描いた5本の爪には、本格中華料理店としての誇りが感じられます。また、描かれた金龍は、大地と豊穣の守り神とされ、大地に植物が根ざすように強い底力を構築し、導く神とされており、戦後復興を遂げた広島において創業した、創業者の決意や自信の表れではないでしょうか。

 

 

鳳凰

鳳凰も、さまざまな動物の一部が集約されているその形から、総合的な力を持つ極めて縁起の良い伝説の鳥とされています。鳳凰が舞い降りた地には平穏が訪れ、幸福と平和をもたらすともいわれています。

 

来頼亭の椀

「来頼亭」の椀には鳳凰が描かれています。創業者が描いた鳳凰には、戦後広島の幸福と平和を願う思いが込められていたのではないでしょうか。

 

雷紋

中国の陶磁器に描かれている歴史的な模様で、豊作の象徴とされています。

 

すずめの椀

「来頼亭」「すずめ」「冠生園」の椀には、”中華そば”がゆえに、この模様が描かれたのでしょう。

色に意味はなさそうです。

 

双喜紋

喜ぶという漢字が2つ並ぶこの模様は、この上ない喜びを表す意味があるそうです。

「乙丸」「つばさ」「冠生園」の椀の上面に描かれた紋には、来店し食べていただいた喜びを表し、「来頼亭」の中国の縁起の良い4種類の花木とともに椀の底に描かれた紋には、完食したお客様に対する感謝の意を表しているのではないでしょうか。

その他

中国では、最初の奇数である「1」 と、最初の偶数である「2」 を足した「3」を包括的な数と捉え、数の多さを表す象徴とされているそうです。椀に、龍や鳳凰、紋などが3つずつ描かれていることに関しては、創業者が、最大限の縁起の良さや喜びをお客様に伝えるためなのではないでしょうか。

以上、勝手な勝手な考察でした。

Posted by megourmet